俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~

「…そっか」



顔を見せず俯いて、薫は俺から手を離す。



「伶士…今は、幸せなんだね」

「あ、まあ…」

「彼女、いるの?」

「い、いや、まだ…」

「…好きな人、いるの?」

「えっ…」



その質問には、いろんな意味でドキッとさせられる。


いや、いるけど…。

…まさか、先ほど薫とモメたあの陰陽師です。なんて言ったら、薫はどんな反応をするか。

それはちょっと恐いので、「あ、ま、うん…」と、ゴニョゴニョに誤魔化した。



「そっかぁ…」



そう呟いて、薫は空を仰ぐ。

その横顔は、ほんの笑顔にも見えるが…何を思っているかは読み取れない。


でも、冬の青空は、氷点下の気温と共に澄んでいて。

何だか、眩しかった。






「…これから、お祖父様たちとランチ会があるの。よかったら…伶士も来る?」

「え…と」

「伶士なら大歓迎だよ?これからお母さん迎えに来るから一緒に…」

「………」



いや、ランチ行きたいワケではないのだけれども。



(………)



「…いや、俺、一回カフェ戻る。あいつにさっきの話つけてくるから」

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