俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~

記憶の片隅の少女と謎

★★★







「伶士さま、旦那様のお仕事見学どうでしたか?」

「あ、うん…お仕事見学というか…」



自宅に向かう車の中。

忠晴はハンドルを握りながらも、いつもの柔らかい口調で話し掛けてくる。



親父の仕事見学というか、なずなの仕事見学というか…。

返答に困る。

しかし、忠晴はなぜかクスクスと笑っている。



「まあ、なずなさんが珍しく起工式の土地浄霊を担当するというので、旦那様はそれを伶士さまに見せたかったんだと思いますが」

「忠晴は知ってたのか…」

「ええ、すみません」

そう言って、愉快なのかは知らんが忠晴はまだ笑っている。



しかし、親父もなぜ、なずなのお仕事現場を俺に見せたかったんだろうか。

変な意味じゃ…ないよな。

俺のこの想いを親父知ってるとか?…それ、すごく嫌なんだけど。





そんなことを思いながら、移り行く窓の景色をボーッと眺める。

今日は金曜日、街中には行き交う人だらけだ。

その群衆を見つめては、全然違う内容のことを頭に思い浮かべる。

なずなに会ったら、つい思い出してしまった。


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