俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「…おー!可愛いな?伶士が選んだの?」

「当たり前だろ。まさかチカに選んでもらうワケがねえ」

「使えるー。ありがとー」



ありがとーいただきました。

やった…!



そんな小さな喜びも、幸せとして噛み締めてしまう。



「これにティッシュとリップ入れるわ」

「おうおう。使ってくれ」



…だが、奇襲ってやつは、油断した時にやってくる。

俺が小さな喜びで浮かれて油断している時に。



「…じゃあさー?可愛いみやげをくれたお礼にさ…」



そう言いかけて、なずなは一歩前に進んで俺のパーソナルスペースに入ってくる。

近付かれて驚いたその隙に、下から顔を覗き込んできた。

悪巧みいっぱいの悪魔の表情を浮かべて。



…え?な、何?

わっ…近い!



近付いた顔は、耳元で囁く。

意地悪そうな声は、サクッと耳の中に。



「…またキスしちゃっか?」



えっ…。



「…お、おまえぇぇっ!」



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