俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「おぉ!伶士、来たか!」
ちびっこの組手を指導していた体がゴツめの大人が、俺の登場に気づくと、手を挙げてこっちにやってくる。
「高瀬さん!お世話になります!」
「待ってたぞー?アップ済んだら早速やろうぜ?」
「はい!」
この体がゴツめの大人は、高瀬さんといって、この道場のベテラン練習生。
背は俺より低めだけど、体の筋肉半端無い。
で、ゴリラ顔なので、より一層強く見える(…)。
昔から個人組手で良い成績を修めていた強い選手で、全国区の大会で入賞していて、ちびっこな俺達のヒーローだった。
高校では低迷していたけど、大学に入ってからは復活、飛ぶ鳥を落とす程の勢いで数々の大会を勝ち抜き、ついに全国大会優勝。
北桜学園大学の四年生で、就職先も決まり現在は卒業式を待つのみで、道場に顔を出してはちびっこの指導をしていたのだという。
…そんなタイミングで、俺が再び通い始めたもんだから。
ここぞとばかりに、組手の練習相手だ。
俺も願ってもみないラッキーだ。まさか、俺達のヒーローだったあの高瀬さんとスパー出来るなんて。