俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
デパート内に入った二人の後を追い、俺も人混みに紛れて、それとなく尾行。
バレンタインのこの時期、地下食品街は異常に人で溢れていた。
装飾も一層華やかで、お菓子屋のテナントには女子の行列が出来ている。
身を隠すにはうってつけの人間の量だ。
人が多過ぎて見失いそうになるが。
前方数メートル離れたところにいる二人は…何やらお喋りしながら歩いている。
途中、テナント前で立ち止まって、なずなが商品を覗いたりしているのを、男は一緒になって覗いている。
商品を二人で見つめて、笑いあって言葉を交わしながら、そこを離れてまた並んで歩き出した。
ここに、何しに来たんだ?
実は、買い物に付き合ってくれというお誘いだったのか?
その仲睦まじい様子、まるで…。
(………)
…デートやないかい!
そうか。俺はデートに誘われていたのか?
そうか。
そうか…。
(………)
…何か、すごい虚しい。
何でこんなことになっている。
本当なら、あそこには俺が…!