俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「何か、バタバタ人倒れるねー。体調不良でもレアなチョコ買いたいんだね」
美森は、その光景を見つめて関心のない一言を口にする。
ま、待て…。
周りの連中が、その不可思議な光景に反応しないのを見ると。
これ、見えてるの…俺だけなのか?
この、違和感。
どんよりとした天井。
何なんだ…?
呆然と思考を巡らせていると、美森がまた「ああぁぁっ!」と叫び出す。
「れ、伶士!伶士!」
「今度はなんだ!」
「な、なずぽよ、いた…!」
「へ?」
美森の指差す方向を見ると。
なずなだ。
この光景を背に、同伴のイケボ男と裏口に姿を消す、その瞬間だった。
「伶士!行こう!追うよ!」
「…は?え?」
「倒れてる人は店員さんが何とかしてくれる!…こっちの方が大事!」
「…あ!ち、ちょっと!」
俺の意志なんて聞かずに、美森は俺の腕をグイグイと引っ張って、その裏口へと向かう。
裏口を抜けると、そこは廊下で。
いくつものドアが並んでいた。
どこへ…?