俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
ヤバい、と指差したその方向には。
気が付けば、さっきより距離が離れたところで転がっている、先ほどの赤い恐竜だ。
しかし、その恐竜は『ズルズルジュルジュルズルズル…』と、汚い音を立てながらピクピクと動いている。
そして…恐竜の体全体に、オーラが集まっているようだ。
そのオーラ…それは、先ほど見た、倒れた女性の体から出ていたのと同じもの…!
それが、恐竜の体にどんどん吸い込まれていく。
「ヤバい…変化する」
その言葉通りか、吸い込まれたオーラを纏って、どんどんとその姿を変えていく。
シルエットが恐竜から…人間の形に変わっていくのを、しかと見えてしまった。
恐竜から人へ…進化?
…な、わけない。
進化ではなく…変化。
「妖怪じゃねぇ…魔族だったワケか」
イケボ男の呟きに、なずなは浅く頷く。
そして、何とも険しい表情を浮かべていた。
「妖怪じゃなく…魔族?」
魔族って何?
ふとした呟きに、なずなは答えてくれる。