俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「…売られたケンカは買うぞ?」
攻撃を回避した後に体勢を直した彼は、ニヤリと悪そうに笑う。
なんて好戦的な目付きをしてるんだ。
「まあ…俺もケンカ売るけどな。売ります買います主義」
まるで古着屋の広告文句のようなセリフを呟いた彼は、こっちを見て、俺の傍にいるなずなと目を合わせている。
お互い頷いていた。
「散々弱らせた後に退魔調伏…魔族単品だから、場合により抹消でも可。…やっちゃって」
「…了解?」
そして、なずなは指で印を結ぶ。
「忌みし魔の動を封じよ!…急急如律令!不動縛!」
すると、目に見えない、地を這い唸るよう空気の歪みが魔族を襲う。
空気だけ、肌でビリビリと感じていた。
術を受けた魔族は、手足を動かそうとしても動かないのを不思議そうにしているようだ。
術が命中したのを目で確認して、なずなは彼に呼び掛ける。
「…夏輝くん、いいよ!」
「おう!」
いいよ!って何が?
…と、首を傾げていたが。