俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
ひとつ、咳払いをする彼の姿を視界に入れて、息を飲む。



「………」



彼は、自分の左の拳をじっと見ている。

左の薬指には、指輪。

大振りの宝石がついた…。



(あっ…)



傍にいるなずなを横目で見る。

その左耳に輝くピアスを見て気が付いた。



指輪…なずなのピアスと同じ石。



俺の予想が正しいなら、この人は恐らくなずなと同じ…。



そして、あの時と似た光景を目の当たりにするのだ。





「…桃李」



まるで、愛しい人に囁くかのように、その声は甘く優しく。

その指輪の宝石に、唇がそっと触れる。



すると、そのキスに反応したかのように、指輪の宝石は白い光を規則的に放ち始めた。

「…俺は、一生おまえを愛す…」

そして、左の拳を前に突きつけると、包む幻想的な光は次第に大きくなっていく。



《神力か!》



なずなの術で動けなくなっていた魔族は焦り出す。

術から逃れようとジタバタし始めた。



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