俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「どうした?」
「…え?ここ?」
「うん。そうだけど」
「…ここに?…入るの?」
「え?ダメか?好みじゃないか?」
「い、いいえ!…全然好みですけど…」
そして、あわあわと狼狽える。
「って、ここ、有名な高級ステーキ屋さんじゃないのさ!な、な、何も美味いお肉食わせろ言ったけど、高い店連れてけとは一言も…!」
「ここ美味しかったぞ。特選ヒレステーキが」
「わぁお!ヒレステーキ!…い、いや、お値段…!か、金、持ってんの…?」
「母さんのカードあるから払えるけど」
すると、なずなは「あなた、そういやセレブですものね…」とボソッと呟いた。
「ここも結構美味いんだけどさ、一番お気に入りなのは、俺んちの界隈にあるステーキ屋なんだよな」
「し、知ってるよ…『さっぽろグリエ』だろ…セレブ御用達のステーキ屋…おまえんち行くときいつも前通るからいつも行ってみたいと思って妄想してるよ…」
「は?妄想?行きたいなら行けばいいだろ」
「庶民はステーキ一枚に万払ってられないんだよおぉぉ!」
おまえ、陰陽師でだいぶ稼いでんだろ。