俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~

中に入って、支配人に「いつもお世話になってます」と頭を下げると、「ああぁぁっ!頭取のお坊っちゃまでしたか!」と、窓際の席を用意してくれた。

最上階だし、景色はなかなか良い。

夜だし、中心街の輝く灯りが綺麗に鑑賞出来る。

雪も深々と降っていて、ムードあるな。



「め、メニュー見なくていいのかよ…」

「何で?特選ヒレステーキ食べんじゃねえの?ロースが良かったか?」

「い、いえ、ヒレで…」



メニュー見ずに注文したら、これだ。

まだ値段どうこう気にしてんのか。

おまえは奢られる方なんだから、気にしてんじゃねえよ。

さっきまであんなに威勢がよかったのに、急に借りて来た猫みたいに大人しくなった。

そんなことを思いながら、テーブルの向こうに向かい合って座っているなずなのキョドり気味な様子を見る。



しかし。

ムードあるレストランで、二人きりで食事か…。

何か、デートみたいだな…。



デート…。



(…はっ!)



なずなが値段値段うるさいもんだから、着目してなかったが。

このシチュエーション。




デートやないですか…!



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