俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
そこに気付いてしまった途端、照れで急に恥ずかしくなってしまい。
し、しまった。意識すると、俺もソワソワしてしまう。
高級ステーキ屋で、一方は値段でソワソワし、片一方は照れでソワソワするという。
傍から見たら、挙動不審怪しいカップルとなってしまった…。
…しかし、湯気が立ち込め、肉汁が鉄板を弾く音がしたモノが目の前に登場すると。
「…おおぉぉっ!」
ソワソワしてる場合じゃない。
ヤツの瞳がここぞとばかりに、感動でキラキラ輝いている。
「す、ステキ…!肉厚ジューシー肉汁…ああぁぁ…良い薫り…!い、いたただきますっ!」
もうヤツは、目の前の高級ヒレステーキしか見えていない。
「えへへ…」と、照れ笑いしながらナイフとフォークを手に肉を食すに差し掛かる。
そして、一口大にカットしたステーキを口に頬張った。
「んんんん…うまっ!うまぁぁぁ…」
口に広がる肉の美味に、うっとりしているようだ。
「えへへ…」と、だらしない顔をして、そしてまた一口、肉を口に入れる。
「ヒレうまうまー」
…ほんっとに。
こういう時だけ、可愛らしくなるんじゃねえよ。
普段は、大魔王のくせに。
(ほんっとに…)
…かわいいな。