俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「あれ、伶士どしたの」
「ちょっと…これ」
ポケットから取り出したものを、なずなの前にスッと差し出す。
「これ、何?」
「…チョコ」
それは…さっき、チョコレートディスコで思い付きで買ったナッツのチョコ。
黒ベースで所々ラメがあしらわれた、オシャレな包装紙に包まれた、小さめの箱だった。
なずなのことを思い浮かべて買ったのだから。
それを、なずなにあげたいと思う。
それは…自然だよな。
「チョコ?…私に?」
「さっきのお詫び…」
「お詫びぃ?」
「さっきはすみませんのお詫び…バレンタインチョコだけど」
すると、なずなはブッと吹き出して笑う。
「おいおいおい。バレンタインっつーのは、女子→男子だろ。男子→女子でどうすんの」
「…お詫びの品がたまたまチョコなだけ」
「お詫びの品にバレンタインチョコ…ムードねえなぁ?」
「…じゃあ、日頃の感謝の品にする。それなら文句ないだろ」
すると、今度は「ははっ」と、声を出して笑われた。
「じゃあ、遠慮なく…」