俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~

一粒お裾分けしてくれるとわ。

普段意地汚いくせに、気前がいいな。



…しかし、こんなんで安心してはいけない。



忘れてはいけない。

ヤツは、普段大魔王だが。

たまに…小悪魔。




「はい、あーんして?」



えっ…。



チョコが一粒、なぜか俺の顔面真ん前にある。



その向こうには、テーブルから身を乗り出して、チョコを指でつまんで、俺の目の前に差し出しているなずながいた。

その顔の距離も、さっきより近くて。



(え?…え?)



な、何これ?どんな…!



突然の事態に、頭が真っ白になってしまう。



なずなが、俺に?

あーんして…。



いや。いやいや。

待て。待て待て。

『食べさせてやるー?いひひ』とは、言ってたけども。



なずなが、俺にあーんしてくれるなど、俺、何か勘違いしてるのかもしれない。

頭パニってないで、冷静に状況を…。



「…ほら、早く!口開けて!…なずなさんがあーんしてやるんだぞ?有り難く思え!…ほら!」



…いや、勘違いじゃない!

現実…!



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