俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「橘くーん!」
「すいませーん!橘くん呼んでくださーい!」
「はいはい、了解でございますよ!…伶士いぃぃっ!私達の王子ぃぃっ!」
「………」
美森、おまえ何をでしゃばっとるか。
さっきから、お客さんの女子が俺を呼ぶ度に橋渡し的役割やっちゃって。
「マネージャーさんありがとー!」なんて、女子たちに感謝されてるではないか。
んでもって、さっきから俺の後ろで「みなさーん?サッカー部をこれからもよろしくお願いしますねー?」と、お愛想を振り撒いている。女子たちに。
何役?俺のマネージャー?
いや、サッカー部のマネージャーか。
「…早くいらっしゃい、王子ぃぃっ!」
「わ、わかったよっ!」
次々と来訪する女子のお客さんに。
俺の周りには増える増える大量のチョコ。
どれが本命でどれが義理かなんて、量があり過ぎてもうわかんねえ。
頑張れってこういうこと…?
あーっ。もう。
嫌になる。
ようやく女子の波が退けると、どっと疲れが出て、気持ちがズシッと重くなる。
両手それぞれに持ってる紙袋も、大量のチョコでズシッと重い…。
はあぁぁ…。ため息が出たわ。