俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
まさか、なずなが…俺に!
呼び止めたのに気付いたのか、なずなは足を止めて少し振り返り、こっちを横目で見る。
「な、なずな、これっ…」
「あー。それ、昨日作ったんだ」
「つ、作った?!」
これ、手作りなの?
って、見た目からしてそうだけど。
「何驚いてんだよ。私が手作りしたらおかしいのかよ。こんなかよわい乙女捕まえて酷い罵声浴びせてくれるな?」
「…罵声って…俺、驚いただけで、酷いこと言ってないんだけど」
「あーそーですか」
確かに手作りには驚かされたが。
「って、昨日咲哉くんに教えてもらいながらブラウニー作ったんだ。日頃お世話になってる人達にプレゼントしようと思って。事務所の社員さんとかに」
「へぇ…」
ということは、おもいっきり義理チョコなワケ。
へぇ…。
…それでも、貰えただけで嬉しい。
「伶士にはこないだのお返し。詫びチョコの」
「お返し?…早くね?お返しといったらホワイトデー…」
「まあまあ。本来はこういったカタチでしょ?」
平静を装ってるつもりではあるが。
実は…ドキドキ胸の音がかなりうるさい。