俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「そゆことで、じゃー」
「あっ…ありがとっ」
「ま、食べられなかったら忠晴さんにでも食べてもらって?」
そう言って「じゃ」と、手を挙げ背中を向けて隣の六組に戻っていく。
あほ…忠晴にあげるわけなかろうが。
奇跡が起こったんだぞ…?
貰えるはずがないと思っていたのに。
まさかのまさかで、なずなが俺にチョコを…!
しかも、手作り。
絶っ対、誰にもやらん!
やらないぞ!
(………)
そのチョコが入った紙袋を抱えて、慌てて教室の中に戻る。
速やかに着席し、紙袋の中から恐る恐るとそのなずな作チョコを丁重に手に取った。
何故か、挙動不審気味にコソコソと辺りを見回して警戒してしまう。
なずなが、くれた…。
俺にチョコを…!
本当に、さっきから胸が高鳴って止まない。うるさすぎるほど。
あまりにもうるさすぎて、先程の「ありがとう」は、振り絞ってようやく出た言葉だったりする。