俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
なずなが俺にくれたチョコは、ブラウニーというやつで。
クッキーに近いチョコケーキ。
小さいのが3つ入っていて、中にはクルミが練り込んであるようだ。
まさに、バレンタイン手作りの鉄板。
(おっ…)
包みである透明のギフト袋は、偶然にもペンギン柄だ。
ファンシーなペンギンではなく、スタイリッシュでオシャレなペンギンの柄。某ガムのイラストみたいな。
ホント、いかにもよくある手作り!みたいな見てくれのものだった。
…しかし、鉄板だろうが、よくある見た目だろうが。
俺にとっては、二つとない特別で有難いモノであり。
やば。感動しすぎて、胸がぶるぶる震えてるような気がする。
熱くて、ジーンとしてる。
(やった…)
そのよくある見た目の手作りチョコを手にしたまま、思わず顔が緩んでしまう。
「えへへ…」と、チョコに照れ笑いする不審な男。
嬉しい。
…そして、この喜びが。
幸せの軌跡として、ひとつ刻まれていく。
俺…しばらく頑張れそう。
っつーか、いつ食べよう。
絶対誰にもやらない。独り占めする。
ごめん、忠晴にもあげれない。