俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~

なずなが俺にくれたチョコは、ブラウニーというやつで。

クッキーに近いチョコケーキ。

小さいのが3つ入っていて、中にはクルミが練り込んであるようだ。

まさに、バレンタイン手作りの鉄板。



(おっ…)



包みである透明のギフト袋は、偶然にもペンギン柄だ。

ファンシーなペンギンではなく、スタイリッシュでオシャレなペンギンの柄。某ガムのイラストみたいな。



ホント、いかにもよくある手作り!みたいな見てくれのものだった。



…しかし、鉄板だろうが、よくある見た目だろうが。

俺にとっては、二つとない特別で有難いモノであり。



やば。感動しすぎて、胸がぶるぶる震えてるような気がする。

熱くて、ジーンとしてる。



(やった…)



そのよくある見た目の手作りチョコを手にしたまま、思わず顔が緩んでしまう。

「えへへ…」と、チョコに照れ笑いする不審な男。




嬉しい。



…そして、この喜びが。

幸せの軌跡として、ひとつ刻まれていく。



俺…しばらく頑張れそう。

っつーか、いつ食べよう。

絶対誰にもやらない。独り占めする。



ごめん、忠晴にもあげれない。




< 327 / 503 >

この作品をシェア

pagetop