俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
『じゃあ行こっか』と、兄貴が言うと、その二人は『はい…!』と、目をキラキラさせて兄貴に羨望の眼差しを向ける。
さすが、学園では神扱いされている兄貴。
この人たちは、兄貴のファンか。
そして、今もその二人は俺達の後ろを歩いてきている。
しかし、浮き足立っている様子なのか、二人で兄貴を見ては、顔を見合わせてクスクス笑ったりしている。
大人になりに行くって、何なんだよ。
『…伶士、女を抱くのにあたふたする男なんて、カッコ悪いぞー?』
『えっ?』
『こういうのは経験がモノを言う世界だからね。橘の御曹司が女を抱くのが下手とか、笑い話になっちゃうからな?』
兄貴…何の話してんの?
理解出来ずに黙っていると、兄貴は勝手にべらべらと喋り出す。
『伶士はこれから筆下ろしすんの。大人になるんだよ』
『ふ、筆下ろし?』
『ダイレクトに言えば、DT喪失』
『え…えぇっ!』
『だってまだ経験ないだろ?そっちの』
急に振られた話に、頭が一瞬パニックになる。
いや、それって…童貞喪失って!?