俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
なずなの余計な一言に、またキッとなって言い返すむーだが。
今度はそこに、またしても美森が「…そう!」と、指差して叫んでいる。
は…?
「…そぉー!…そぉーなのよ川村殿!サッカー部員らは、獣連中なのよぉっ!」
「はぁ?」
「だから、この20人の獣連中を私一人じゃ無理だからぁっ!川村殿、お願いぃっ!一緒に珍獣遣いになってくださいぃっ!」
獣連中、珍獣遣い?
黙ってりゃ言いたい放題だな。
しかし、むーに向かって再び頭を下げている今、そんなことは言えたものでない。
後で散々喚いてやるからな。紛糾だ。
「…うーん」
度重なる美森の懇願に、むーは困った顔を見せている。
だが、そんなむーにじっと視線を送ってるのは…親友のなずなだった。
「…むー」
「あぁん?」
「やってやったらいーじゃん」
「…はぁ?」
真っ正面に座るなずなの提案に、目を細めて面白くない声を出している。
しかし、凄んでくるむーに、なずなは動じず。
「マネやってた時のおまえ、カッコよかったけどなー。顔すっぴんでしょぼかったけど…いひひ」
「だろうよ!おまえぇっ!」