俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
しかし、なずな。
おまえ…なんて経験をしてるんだ。
可哀想というか、笑っちまうというか。
男運ない…なるほどな。
けど…俺が昔、兄貴に薫を取られたとかでグダグダしていたのって、とても小さなことだったのでは?と、思える…。
「で、その場をダッシュで去り、むーに泣き付くのがいつものオチか。なずぽよ劇場か!」
「なずぽよって、男を手玉にとって遊んでるイメージだったんだけどな」
「あー。そこはよくわかんね。あいつ、夜はいつも留守にしてんだよ。ひょっとしたら男のところ行ってんのかもわかんねー」
いや…輝樹。それは違う。
夜な夜な出掛けるのは、恐らく依頼があるからだ。
陰陽師の依頼…。
すると、輝樹のスマホがブルブル震える。
「…あ、姉ちゃんから来た。顔面凶器の写真」
「マジか!見せろ!」
俺も見る!
一斉にみんなでそのスマホを覗く。
「………」
うわ…。
その、凶器っぷりフェイスに。
全員、絶句…。
「…う、うわ。顔面凶器、意味わかる。ブサ…」
颯太はそこで口をつぐんだ。
おまえ、失礼なこと言おうとしたろ。な。
「…輝樹、これ、俺のLINEに送ってくれ。俺、待ち受けにして守り神にするわ」
チカ、本気か?
これ、相当やべえぞ。
なずながこんな男に抱かれ…なんて、考えると、余計ガッカリだ。
ああぁぁ。