俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
何かが聞こえたワケでない。
誰かに呼び止められたワケでも、立ち塞がれたワケでもないけど。
なぜか、足を止めてしまった。
自然と、勝手に足が止まった…というか。
何かを感じた。
と、言ったら正しいのか。
そんなワケのわからない感覚が、意識とは裏腹に自然と足を止めてしまったのだ。
雪の降る天を仰いでみるが…分かるワケがない。
何で?何…。
(………)
首を傾げて、またその足を進める。
地下街への入り口である、デパートの正面玄関口に足を向けようとしたのだが。
(………)
目の前には、雑居ビル。
第五ハルニレビル…?
デパートの裏、ともいえるそのビルにの真ん前にいた。
その姿を正面から捉えて見上げる。
案内看板を見てみると…中にはスナックのテナントの名前がびっしりと書いてあった。
(………)
なぜ。
何故、ここで立ち止まってしまったのか。
何度考えても、わからない。
もう一度首を傾げて、踵を返す。
「…伶士?」
名前を呼ばれて、足を止めて振り返る。
すると、そこには。