俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
そう言って、おばちゃんママがせかせかと持ってきたのは。
置物だ。
『王将』とデカデカと書かれた、将棋のコマの置物。
なずなの小さな顔ぐらいのサイズの、置物。
何だか、時代を感じる。
「これが、これが!パックリいっちゃってるのー!…ほら!」
「…わっ!」
「これは…」
思わず声をあげてしまった。
『王将』ビッグな将棋のコマ。
おばちゃんの「ほら!」で、見事に真っ二つに離れた。
…え?
『王将』分断?!
このデカデカな将棋のコマが?パッカーン!と割れたのか?
「す、すごい音がしたのよ!何か焦げ臭いと思ったら…そしたらこれが真っ二つ!」
「焦げ臭い匂い?」
そう呟いた時には、なずなはすでにその置物を手に取って確認している。
俺も後ろから覗き込んで、王将の有り様を確認。
切り口が、やたらとキレイだ。
電ノコでスパッといったみたいに。
「…焦げてる」
我が陰陽師さまが釘付けにしている視点は、その切り口の角だ。
指でなぞっているその部分には…焦げ?
切り口がほんの数ミリ、黒く炭化しているよう。
よく見ないと見落としそうなぐらい、小さな部分だが。