俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~

知り合い…って、ワケでもなさそう。

と、なると。それはなずなの知名度か。



結局、隣のテナントのバーからは、これと言った情報は得られず。

お礼を言って、そのまま退却。

…こいつ、それなりに敬語使えるんだな。

だなんて、変なところで感心。



「次、行こう」

「うん」



そんな感じで、同じく四階のテナントを4つ全て当たる。

しかし、これと言った情報はなく…。



「音や物損被害も、オデット以外はなし。どのテナントも、障気の欠片すら感じない。うーん…この階じゃないのか」



そう呟きながら、なずなはタブレットに文字打ちをしている。



「他の階も回るか。このビルは五階建て、各階テナントが三つから四つ。…結構時間かかるな」

そして、俺の方をチラッと見る。

「…何だよ」

「時間かかるぞって」

「まだ7時前だろ」

「………」

帰らねえのか!と、目で訴えられたような気もしたが。

ここまで首突っ込んで帰れると思うか。

しかし、あまり面白くない表情を向けられると、ムッとする反面、複雑。

何だ。何だよ。俺がいちゃいけないのかよ。



素っ気ない態度で先に進むなずなの後を、半ばムキになって追った。


< 386 / 503 >

この作品をシェア

pagetop