俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
知り合い…って、ワケでもなさそう。
と、なると。それはなずなの知名度か。
結局、隣のテナントのバーからは、これと言った情報は得られず。
お礼を言って、そのまま退却。
…こいつ、それなりに敬語使えるんだな。
だなんて、変なところで感心。
「次、行こう」
「うん」
そんな感じで、同じく四階のテナントを4つ全て当たる。
しかし、これと言った情報はなく…。
「音や物損被害も、オデット以外はなし。どのテナントも、障気の欠片すら感じない。うーん…この階じゃないのか」
そう呟きながら、なずなはタブレットに文字打ちをしている。
「他の階も回るか。このビルは五階建て、各階テナントが三つから四つ。…結構時間かかるな」
そして、俺の方をチラッと見る。
「…何だよ」
「時間かかるぞって」
「まだ7時前だろ」
「………」
帰らねえのか!と、目で訴えられたような気もしたが。
ここまで首突っ込んで帰れると思うか。
しかし、あまり面白くない表情を向けられると、ムッとする反面、複雑。
何だ。何だよ。俺がいちゃいけないのかよ。
素っ気ない態度で先に進むなずなの後を、半ばムキになって追った。