俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「ニューハーフにモテるなんざ、イイ男の象徴じゃねえか。イケメンの宿命」
「………」
「おいおい。涙目になってるぞ」
「………」
だって、泣けてくるでしょうよ。
股間、何回撫でられたかわからない。
「お?なずな、あんた連れがいたのかい」
ふと見ると、なずなの後ろには和服姿のおばさんがいた。
おばさん…いや、この人も男性だ。
声が低くて野太い。背は低いが、顔の骨格がゴツめである。
白塗りに赤い口紅で、髪は夜会巻き。
見た目…チッキショー!って叫ぶ芸人さんにそっくりだ。
「うん、まあ。あ、橘しゃちょーの息子だよ、ママ」
「ほぉぉ…士朗ちゃんの息子かい!」
そのおばさん(おじさん?)は、見開いた目で俺を見る。
親父のこと知ってるのか?…って、親父もここに出入りしたことあるなら、知ってるかもな。
今、ママって言われてたし。
と、そこで本来の目的を思い出す。
凌辱に打ちひしがれている場合じゃない。
「…そうだ。話、どうだった?」
目の前にいるなずなにその旨を問うが、首を横に振られる。