俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「この店での被害は特になし。…それに、オデットの階下に当たる部分は、ちょうどそこの客席の辺りなんだ。そこにはなんの被害もない」
「そうか…」
「…それに、一階の部分にはテナントがない。さっき通ってきたエントランスで、特に変わった感じもなかったしな」
収穫がなくて残念…と、思ってると。
なずなが「うーん…」と言いながら、頭をバリバリと掻く。
行き詰まって困ったといった表情を見せていた。
「とりあえず、ボスに報告…ママ、ちょっと空いてる席貸して」
「お、使え使え」
「ありがと」
ママの許可を得て、なずなは早速近くのボックス席のソファーに腰かける。
タブレットを取り出して、文字打ちを始めた。
こまめだな。
その様子を離れたところから見守っていたが…。
「………」
俺と同じように、なずなの様子を見守っていたのは、和服姿のママ(パパ?)だった。
その視線は、ただ見守っているだけじゃなく…我が子を見るようないとおしいというか、でも、悲しみというか、哀れみというか。
「…《親父みたいな陰陽師になる》か」