俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
横で呟くママのその一言を、スルー出来なくて思わずその顔を見てしまう。
そのセリフは…いったい、何を言いたいのか。
すると、視線に気付かれたのか。
突然こっちを振り向いたママと視線がバッチリ合ってしまった。
気まずっ…。
「…あの子の口癖のようなもんさ。陰陽師である親父と兄弟子の剣軌の姿を昔から見てる。そう思うのは必須だったかもね」
「はぁ…」
菩提さんが兄弟子?…ただの上司じゃなかったのか。
兄弟子ということは、菩提さんの師匠は、なずなの父親…。
「…父親は陰陽師、母親はこのすすきのの女王」
「女王?!」
「まるで妖精のように美しくてさ、まだ若かったんだけど…この世界に足を踏み入れて一年待たずに店、いや、チェーン1の売れっ子だ。彼女の名を知らない者はこのすすきのにはいなかった」
「え…ホステスなんですか…?」
「まあ、アタシとしては?なずながホステスじゃなく陰陽師になるって言ってくれてホッとしてるけどさ?なずなは男に媚びれないからね?」
ママは、遠い目をしてその話を語る。
煙草に火をつけながら。
「…いや、陰陽師も微妙だよねぇ」
それは、ボヤキのようで。
ママの切なる思いだったりも…する。