俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
この話…前にもなずなに聞いたことあるが。
いつ聞いても壮絶物語だ。
家に帰ってきたら、母さんいなくなってたとか…。
でも…。
《だーから?自由にやってんの。私》
明るく笑い飛ばしていて…。
「…でも、なずなは誰のことも責めなかった。悲しくても、怒っても…泣かなかった。涙は見せないんだよ、あの子」
「泣かな…い?」
「イタズラ好きで、少々傲慢なところもあるけどさ?『強気』が専売特許だからな。どんなに悲しくても辛くても、そんな素振りを見せないし、努力してるところを人に見せない」
「………」
「いつでも先回りして人を気遣う、周りをちゃんと見ることが出来る、そして…何より自分ではなく他人のことを一番に考えて…護り抜く。ったく、これらを素知らぬフリしてやり通す、変に意地らしいところは親父譲りだ」
《護り抜く》
その言葉に、胸がドクッと鳴って、記憶が掘り返される。
それは、少し前のこと。
ボディガードで、全てを護ってもらっていた、あの頃。
《…全てを護り通しますって、私は言ったよ!…女に二言はない!》
その言葉は。
ボディガードとしての契約事項じゃなかったのか…?!