俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
ちっ…。
「…おまえは、そこに座っとけ!」
「はっ…」
「対人間は任せろ!」
そんな中、犬のスウェット顔面凶器が「おおぉぉっ!」と、変な雄叫びをあげて、拳を振りかざしてきた。
…威勢よく叫んでるくせに、隙だらけじゃねえかよ!
降り落ちる拳は、手掌で受け止めて掴んで引き寄せる。
同時に、右膝蹴りを隙だらけの腹ど真ん中にボッカリと入れて、屈みかけたその隙に襟ぐり掴んで奴らの固まっている箇所へと投げ飛ばす。
「うぉっ!…うわっ!」
そこの二名ほど、飛んできた顔面凶器の下敷きとなった。
痛みで地に倒れる連中を横目に、ふと今までの自分が頭に過る。
《それに、何かあったら護ってくれるだろ。なずななら》
…俺って、だっせぇな。マジで。
本気でそんな、なずなに護ってもらおうと考えていたことが。
凄いだっせぇし、腹立たしく感じる。今なら。
《何で助けてくれなかったんだよ…》
女に助けを乞うなんて、男の風上にもおけない。
本っ当に、情けない。