俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「くそガキ…コラァ!」
やはりこの手の連中、コラァ!は標準装備のようだ。
しかし、目の前のパンチパーマのスーツ男は…刃物をこっちに向けている。
素手じゃない?…上等だ!
「おおぉぉっ!」と、この人も威勢良く刃物を振りかざしてくるが、隙だらけ過ぎる。
一歩踏み込んで足を振り上げると、刃物を持った手に上段蹴りがブチ当たり、あえなく刃物を落としていた。
「ああぁぁっ!」と、悲鳴をあげたその隙に大腿へのローキックで、踞っていた。
「ちっ…大人しくしろ!」
「…伶士!」
なずなの叫び声で顔を上げると。
長身スーツ姿の斎藤さんがいつの間にかリバースしており、ガチャンと音を立てて黒い鉄の塊を俺に向けていた。
それは、本場モノの…拳銃?!
(………)
けど、瞬時に悟る。
俺んち、ハワイの別荘の地下に銃撃場があって、拳銃打った経験あるんだけど。
その銃の持ち方と銃口の向き。
こいつ…威嚇だけで、打つ気全くねえな?
そう判断して、予測される弾道から外れるように回り込んで、踏み切る。
相手に判断の予知を与える間もなく、上段回し蹴りで、拳銃を持つ右手を狙った。
「…はっ!」