俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
踵に拳銃の柄が当たり、斎藤さんの手から跳ね上がった拳銃は、弧を描いて飛んでいき、地面を掠りながら向こうの方角に落ちていく。
静けさが訪れると、我に返った。
うまいこといった…!
全て、うまいこといった…!
冷静になると、恐ろしくなる。
どんだけ自分、アグレッシブだったんだろう…!
拳銃を俺の蹴りで取り上げられた長身スーツ姿の斎藤さんは、痛めた右手を抱えて舌打ちをする。
「…おまえ、いったい何なんだ!」
「…た、ただの空手少年だ!」
「はぁ?」
だって、本当にそうだもん。
呆れた声出されても…。
するとそこで、店のドアが突然ガバッと開き、そこに注目せざるを得なくなる。
反射でバッと顔を向けてしまった。
「…おい!何やってる!…騒がしいぞ!」
店から顔を出したのは。
キレイ目でオシャレな細身の黒スーツを着た、おじさんだった。
いい歳いってそうだが、細身でスレンダー。
まるで、ダンディズムな。
「こっち大変なのに、ガタガタ暴れてんじゃねえ!…何なんだ!」
「…木嶋!」