俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
道路沿いには、コンパクトカーが停まっていて、瞳真くんの彼女であるせづマネがすでに乗り込んでいる。

窓から顔を出して「瞳真早く!」と、急かしていた。

「はいはーい」とヤル気あるのかないのかわからない返事。



「じゃ、伶士。また練習で」

「うん、お疲れ」



俺の肩をポンと叩いて、瞳真くんは車に乗り込んだ。



そして、今度こそ。

歩き出す。

いつの間にか、吹雪は一旦落ち着いていた。





「伶士さま、お帰りなさいませ。長旅ご苦労様です」



道路に沿って歩いていくと、やがて人気のないところに差し掛かる。

そこには、我が家の執事がひっそりと立っていた。



「ただいま。…車にいてもよかったのに。こんな寒い中」

「いえ、そんなワケにはいきません」

「還暦すぎのおじさんを吹雪に晒すほど、俺も冷徹人間じゃないよ」

「忠晴は還暦過ぎてもバリバリ現役です。若者にはまだまだ負けませんよ」



そう言って、俺の手にしていたキャリーケースをそっと奪い取り「こちらです。どうぞ」と案内する。


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