俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「…弓削先生に三日前、『三日後に魔族が金塊を持ってやってくるから、この女を渡してくれ』って、ここに連れてこられた。おやっさんの命令だからな。黙って従うしかないさ。…けど」
「けど?」
「問題は…その『お膳立て』だ」
「お膳立て?…魔力を高めてから献上すれってか」
すると、なずながこそっと教えてくれる。
「魔族に献上するために、美味しい状態にしておくんだよ。ステーキに塩コショウみたいな」
へぇ…。
「…で、その問題のお膳立てって?」
「………」
木嶋さんの顔が無になっている。
何とも言いづらいことなんだろう。
「早く言えよ。何だ?」
「…三日三晩、絶え間なく『男』を与えろ…」
「は…」
なずなと木嶋さんの話を聞きながら歩いていたからか、周りをあまり気にしてなかった。
俺達が入った店とは、ダンスホールバーだったのか、カウンターを後にして、だだっ広いダンスホールの真ん中を三人で歩いていた。
そのダンスホールの奥にはドアがある。
そこに向かって歩いているようだが。
…ちょっと様子がおかしい。
おかしいのだ。