俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
ーー日本の経済を動かす一角となっている『橘グループ』。
この国の建設業界を支えているといっても過言ではない、北海道を拠点に全国に支社をチェーン展開している、老舗の会社『橘建設』を中心に、デザイン会社、飲食業、不動産、アミューズメントパークなどの多方向の事業展開をしている。
じいちゃんは、そのグループ頭取。
親父は橘建設の社長。ちなみにグループの次期頭取。
…もっとも、親父は『頭取なんてやりたくねー。建設業界好きだから、このまま社長やっていてー。代わりにおじさんとかいとこが頭取やってくんねーかな』と言っているが。
みんなには『いやいやいやいや。次の頭取は士朗さんしかいないでしょ!』と、言われている。
母も老舗百貨店チェーンを実家に持つセレブの娘。
そんなセレブたちを親、祖父に持つ俺は、生まれながらのお坊っちゃま。
いわゆる御曹司というやつ。
同じく御曹司の兄貴は、成績優秀でどの分野においても多彩な才能を発揮。
周りからは比べられることもしばしばで。
そんな家が嫌で嫌でたまらなかった。
…少し前までは。