俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「…で、あのお姉さんには説明してんのか?」
そう言って、なずなはベッドにぽつんと座っている沙羅先輩をチラッと見る。
沙羅先輩は、魔法陣から出てこない。
そう御指南されているのか。
「まあ…魔族に献上するとはさすがに言えねえだろ。『あなたを必要としている殿方が迎えに来ますよー?』と話してる」
「はぁ?何だその子供騙し」
「まさか、あんた魔族に食べられるよなんて、さすがに言えねえ…」
「親御さんは?彼女の実の母は?」
「だから、行方不明だって」
「っつーか、弓削先生どこ行ったの」
「依頼でラスベガスに行ってる」
あれやこれやと、隅っこでガタガタと長々と話していたのだが。
「ねぇー?ヤクザさーん?」
その高くて綺麗な声が、こっちに向けられ、木嶋さんは「ああぁぁ…」と、また苦虫潰しフェイスとなる。
ヤクザさんって…。
その声の主は、沙羅先輩だ。
「ねぇー?殿方はもういらっしゃらないのですか?私、お迎えが来るまでここで愛の交歓していなくてはならないんですよねー?」
愛の交歓って…。