俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「ダメだ。伶士はあんたを抱かない」
その時、俺と沙羅先輩の間に入り込むようにゆっくりと歩いてきたのは、なずな。
俺を背に庇うように向け、腕を組んで沙羅先輩を鋭い眼光で見つめている。
「な、なずなっ…」
なんか、庇ってもらってる感があって、複雑だ。
…私の男に手を出すな感もあるけど、なずなに限って、それは恐ろしい程無い。
さりげに残酷物語。切なっ。
「あら、どうして?久々に伶士に抱いてもらいたかったのに」
「それをする必要は…もう、ない」
「あら、どうして?」
すると、なずなは沙羅先輩の足元を指差す。
そこは、先ほどからパチパチッと音を立てる、魔法陣。
「魔力の充填の許容が、もう上限に達している」
「え?」
「…そろそろお迎えが来るはずだ。もう男に抱かれなくていい」
「えー?残念だわ?」
「………」
沙羅先輩、本当にしょんぼりしている。
本当に残念そうだ。
根っからのエロ…まさしく、その言葉の通りだわ。
彼女の目の前にいるなずな、顔がチベットスナギツネのように、無になってる…。