俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~

でも、なぜ実の母さん?



「母のことは、もういいのです」

「…え?」



そんなデリケートな質問されても、沙羅先輩は表情を崩さずに笑顔のままだった。

動じるわけでもなく、無理しているわけでもない、心からの笑顔。



「母は、もう私を必要としなくなりました。だから、もういいのですわ?」

「そ、それは…!」

「だから私は、私を必要としているお義父様の元へと行ったのです。でも、お義父様ももう私を必要としなくなりました」

「は…」

「だから、また私は私を必要としてくれる御方の元へと行くのです」

「…そうじゃない!あんた、自分がどうしたいのか、自分がどこへ行きたいとかはないのか!」



なずなが急に必死になって説き伏せようとするが。

そこは、沙羅先輩には通用しない。



「私は、私を必要としてくれる御方のところへ行きたいのです」

「なっ…」



ニッコリとと見せるその笑みは。

何の曇りもなく。



なずなは言葉を詰まらせて、立ち尽くしている。



…付き合いがあった俺には、わかる。



そのセリフは…沙羅先輩の本心だ。


< 459 / 503 >

この作品をシェア

pagetop