俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
でも、なぜ実の母さん?
「母のことは、もういいのです」
「…え?」
そんなデリケートな質問されても、沙羅先輩は表情を崩さずに笑顔のままだった。
動じるわけでもなく、無理しているわけでもない、心からの笑顔。
「母は、もう私を必要としなくなりました。だから、もういいのですわ?」
「そ、それは…!」
「だから私は、私を必要としているお義父様の元へと行ったのです。でも、お義父様ももう私を必要としなくなりました」
「は…」
「だから、また私は私を必要としてくれる御方の元へと行くのです」
「…そうじゃない!あんた、自分がどうしたいのか、自分がどこへ行きたいとかはないのか!」
なずなが急に必死になって説き伏せようとするが。
そこは、沙羅先輩には通用しない。
「私は、私を必要としてくれる御方のところへ行きたいのです」
「なっ…」
ニッコリとと見せるその笑みは。
何の曇りもなく。
なずなは言葉を詰まらせて、立ち尽くしている。
…付き合いがあった俺には、わかる。
そのセリフは…沙羅先輩の本心だ。