俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
…と、大爆笑したい気分ではあるのだが。
笑い飛ばすことが出来ないぐらい、その『圧』を感じてしまう人物が、もう一人いた。
体が一際大きく…2メートルぐらいあるんじゃないだろうか。
この人は、他の中途半端な見てくれの連中とは違い、ちゃんとした人のカタチをしている。
顔も、俺達と変わらない人間の顔貌。
長い黒髪を靡かせ、頭には兜。
鳥連中と同じ鎧から露出された右手の肌が鱗に覆われているが、それ以外は全くの人のカタチだ。
しかし、細い瞳から覗く、暗紫の瞳が。
視界に入れている俺達に、一段と重い『圧』をかける。
その細い唇を開いた。
『…我が名は、雷帝…』
素人の俺でもわかる。
こいつ、ヤバい。
ただ者ではない…!
「雷帝…マジか…」
退いて、俺達の傍まで来ていたなずなが呟く。
その表情は、目を見開いていて…驚愕に満ち溢れていると、いえる。
「弓削先生…とんだヤツと取り引きを」
「…え?ヤバいヤツなのか?!」
木嶋さんの焦った声に、なずなは頷く。
「…魔界のNo.2の強さを誇る、雷帝だ…」