俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
すると、俺達の真ん前には、大きい生成りの袋が投げ込まれていた。
あの鳥人間たちが持っていた、サンタクロースの袋だ。
最後のひとつが投げ込まれた時、ジャラジャラと音がした。
まさかあの中には、金が…!
『…取り引きは終了だ』
雷帝はマントを翻し、俺達に背を向ける。
それを合図に、鳥人間たちは沙羅先輩の腕を乱暴に取り両脇を抱えて拘束していた。
沙羅先輩が、行ってしまう…。
ただ突っ立って、死への道を黙って見送るなんて。
心が…痛む。
(………)
だが、しかし…。
「よろしくお願いいたします」
沙羅先輩は、乱暴に自分を扱う鳥人間にですら、笑顔を見せている。
そして、ウフフと笑う。
それは、作り物の笑いではない。
沙羅先輩、喜んでいる。
嬉しいんだ。
自分を必要としてくれる人のところへと、行けるから?
…いや、わかっているのか?この状況を。
自分が死ぬってこと、わかってるのか?
その笑顔だけじゃ、本当の『意思』がわからない。
「…待ってくれ!」