俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
その声が響いて、ハッと我に返って顔を上げる。
だ、誰だ!喋っちゃいけない言われてるのに!
と、言うまでもなく。
その声の主は。
「た、頼む!…ちょっと待ってくれ!」
な、なずな…!
おまえ、何やっちゃってる!
魔界のNo.2といわれるラリってキマった雷帝を、呼び止めてしまった…!
しかし、その声は震えていて。
なずなの顔には、汗が伝う。
…それは、何より雷帝の『圧』を肌で感じている証拠ではないのか。
なのに、呼び止めるとは…!
雷帝は、ピクッと立ち止まる。
ゆっくりとなずなの方を振り向いた。
「こ…殺さないでやってくれ!」
『人間ごときが…』
「た、頼む!見返りは他に…!」
『…我に指図するというのかぁっ!』
一瞬、雷帝の瞳が光ったような気がする。
叫び声を引き金に、強風が吹き荒れた。
さっきのとは比べ物にならない…!
風の渦だ。
竜巻?!
捩れて、唸りをあげて。
こっちに向かって…!
「うわあぁぁっ!何でやんすか!竜巻っ…!」
「わわわわっ!」