俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
なずなの元へと体が動きそうになるのを、木嶋さんに引っ張られて引き留められる。
「ダメだ!巻き添えをくらうぞ!」
「でも!」
でも、なずなを残して逃げるわけには…!
「…うあぁぁっ!」
その悲鳴と同時に、ガシャーン!とガラスの割れる音が響いていた。
ピンクのガラスの破片が飛び散って粉々になる。
捩れた竜巻に力で押され、防壁となっていた蓮華曼陀羅陣が消えて無くなっていた。
防御を失ったなずなに竜巻が直撃し、ものの見事にあっという間にぶっ飛んで、壁に叩きつけられる。
蓮華曼陀羅陣が、力押しで破壊された?!
…それは、何を意味しているのか。
なずなが力押しで負けるなど、見たことがないし、想像もつかない。
それほど…この雷帝とかいうヤツは、強敵なのだ。
「ううっ…」
何メートルも風で吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられられた衝撃は、ダメージが大きかったのか。
なずなは、地に崩れて踞り、立てないでいる。
『我に指図する愚かな人間よ…』
すると、いつの間にか、雷帝は踞るなずなの前にいて。
上からその姿を見下ろしていた。