俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~

「…ちっ!」


顔を上げて雷帝に立ち塞がれたことに気付くが。

逃げる間もなくその手は伸びて、なずなの胸ぐらをグイッと掴み上げる。

片手で軽々と持ち上げたその体を高く掲げて、目の前の壁にドンッ!と押し付けた。



「は、離せっ!…ごほっごほっ…」



なずなが口を開くと、捉えているその手は力が入り、首を締め上げている状態となる。

気道を狭められるカタチとなり、ひとつ咳き込んでしまう。



『…このまま締め殺すことなど容易いのだぞ…』



そう言う雷帝の手には、ぐぐっと更に力が入る。

最初はその手を自分から引き剥がし、足をバタつかせて逃れようとしていたなずなだが。

喉を押さえ付けられ、徐々に呼吸が奪われていく。

ハァハァとだんだん呼吸が浅くなっていて、焦点が合わずに遠くを見ているような目となっているのがわかる。



これ、まずいんじゃ…!



(なずな…!)



先ほどのように、飛び出して背に庇いたいけれど。

足が…動かない。



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