俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「だ、だって…!」
「だって何だ?あの女が『助けてくれ』って、頼んだか?」
「そ、それは…!」
「違うだろ!…おまえ、あの女の顔を見たか?あたかも嫁入りするようなウキウキした顔しやがって…」
そこは、菩提さんもそう感じたのか…。
「…そんな状況もわかってない女一人を救うために、多くの犠牲が出るところだったんだぞ?」
なずなは、目を見開いて、顔をこわばらせていたが。
一度顔を上げたのに、また徐々に頭が下がっていく。
「…おまえの傲慢な勝手な判断で!…ここにいた人たち、みんな死んでいたかもしれないんだ!わかっているのか!」
その一言で、ガクッと肩を落とした。
再び、俯いてしまう。
「『身も心も、全てのものを護り通す』…」
気が付くと、上からなずなを見下ろす菩提さんの顔は一層恐ろしいものとなっていた。
目が座っていて、鋭く。
こんな彼、見たことないっていうぐらい、お怒りの表情だ。
「…父親譲りの精神論は、技術も精神も未熟なおまえには危険過ぎる…」
そして、更にキッと睨み付ける。
そこに何らかの思いがあるかのように。