俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~


戦場となりかけた現場には、俺となずなの二人だけが残された。



あんなに怒られた後で…二人きり。

気まずい。

何を話せばいいのか…。



…でも、変に慰めたってダメだ。

ここは、俺のわからない範囲のこと。

口出し出来る分際じゃない。



どうしようもなく、傍に立ってるしかなかった。



…しかし、異変が見られたのはその時で。



(え…)



ガンガンと説教をくらい、俯いて立ち尽くしていたなずなだったが。

震えている…。

細い肩や、握った拳がふるふると震えていた。



そして、ぐすっと鼻をすする。



え?まさか…。



(…泣いてる?)



「お、おい…」



まさかの状況に、思わず傍に寄る。

すると、背を向けられた。



「…見るな」



(は…)



ようやく絞り出したような小さい声は、掠れていて。

震えていた両手は、目を覆っている。

マジか…!



泣いてる…なずなが。

泣いてる…!



これは、どうしたもんか。



…とは、言うまでもない。


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