俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
胸の中にすっぽりとその小さな頭が収まっても、なずなは静かに声を漏らして泣き続けていた。
その声を耳にする度に、こっちも切なくなって、胸が熱くなってくる。
《あの子…レスラーのマスク被ったまま戦い続けてると、そのうち壊れるよ》
…今さらながら。
あのママ(パパ?)が言ってたことって、こういうことだったのかな。
どうもならない事情という壁にぶち当たって、信念を貫き通せなくて、壊れる。
って、言いたかったんだろうか。
まあ…それだけじゃないだろうけど。
泣き続けているなずなを腕の中に抱き止めて、思うと。
その腕に、力が入ってしまう。
沙羅先輩、ごめん。
なずなは先輩を助けられなくて、こうして泣いてるけど。
俺は…これでよかったなんて、思っちゃってる。
沙羅先輩が連れて行かれて良かったって、思ってるわけじゃないけど。
何でか、なずなが無事でいてくれて良かったという思いの方が強くて。
なぜか、ホッとしてるんだ。
すごい、大切なんだ。
この腕の中にいるヤツが。