俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「えっ?!な、何っ?!」
突然の出来事に、声が上ずってしまった。
そ、そんなコートの袖掴むとか!
乙女なこと…!
いや、乙女ですけど。
なずなは、俺のコートの袖を掴んだまま、恥ずかしそうにあっちの方向に目を逸らして言う。
「…さっき私が泣いたこと、誰にも言うなよ」
「は…」
少し、考える。
「…はぁ?」
「だからその…」
今度はもじもじし出した。
なぜ、さっきからそんなに恥ずかしそうにしてるんだ。
「…だから!…さっき私が泣いたこと、学校の奴らに言うなよって!…あぁっ!もうっ!」
そう言って、なずなはプイッと顔を背ける。
その横顔は、ぶうっとむくれていた。
私が泣いたこと、誰にも言うなよ。
…は?こいつ。
何言って…。
もしや…!
ちょっとちょっと、アイツ昨日怒られてえんえん泣いてたんだよ。
ぴえんなってたわ。
マジやばくね?
…と、俺が人に喋ると思ってんのか?!
人に泣いてたこと知られたくないとか。
マジで、意地っ張りの強がり。
負けず嫌いの極みだ…!