俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
それは、レアだし。
しかも、俺の前でだけっていう、このスペシャル感。
俺の前でだけ。
俺の前でだけ見せた、なんていうこの優越感。
特別感。
もったいなくて…他人に言うワケがないだろが。
…いや、むしろ、俺の前でだけ涙を見せるんだぞ?こいつは。
そして、ギュッとしてやって俺の胸で泣いたんだぞ?
なんて、盛りに盛りまくって自分のモノアピールしても構わないけど?
…でも、そこは言わない。
強気の仮面の下にある、可愛い部分を知っているのは、俺だけでいい。
そこが、俺のちょっとした独占欲と。
選んだ幸せのカタチ。
「おまえ絶対言うだろ。言うだろ。スズチカとか。アンナカさんとかに」
「…言わないでやってもいいけど、何かしてもらおっかな?」
「くっ…しょうがない。私の宝物、いきがりステーキの二割引サービス券やるわ!」
「いや、それはいらない…」
地上に上がってビルの外に出ると、一層とひんやりした空気が肌に刺さる。
寒っ…今夜も当たり前に氷点下か。