俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「なずなサン、泣いてたんですか」
すると、もさっと寄ってきたのが、もさ男。
さっきの覗きの件もあるからか、その姿を目にするとムッとしてしまう。
「うん、もう大丈夫。ありがと玲於奈」
「目を真っ赤にしてかわいそうに」
そう言って、もさ男は。
なずなの頭にポンと手を乗せる。
そして…「よしよし」と頭を撫でていた。
(…はぁ?)
そのもさ男(そういや玲於奈って名前だった)の行動を見て、一気にイラッとくる。
眉尻がピキッとするぐらい。
…あぁ?このもさ男。
事務所の社員だか神の力を持つ者だか、知らねえけど。
何で、なずなの頭なでなでしてんだよ…!
それはさっき、俺がやったの。
俺が!頭なでなで慰めたの!
真似するでない…!
変に対抗意識を燃やして、ギリギリと睨み付けていたが。
「伶士さま…?」
真横から、じっとりした声がする…。
(あ…)
ヤバい。これは。
うちの執事、お怒りの声…!