俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「…じゃあ、行こうか」
「…え?移動するんですか?」
「そう。俺の車に乗って、ね?」
そう声を掛けられて、菩提さんと一緒にパン屋さんを出る。
美人の店員さんは、寒い外の駐車場にまで出て来てくれて、お見送りをしてくれた。
菩提さんと、この店員さん。知り合いなんだ。
車の助手席に乗せてもらって、菩提さんはエンジンをかける。
「じゃあ早速向かおうか。…あ、そのパン食べて?桃李の焼いたクロワッサンは絶品なんだ」
「はっ…あ、ありがとうございます。って、どこに行くんですか?」
「うん、すすきの」
すすきの?!
すすきの、なぜ?
そこで俺に見せたいもの、話したい事って何?
頂いたクロワッサンを噛りながら考えてみるが、皆目見当がつかない。
…はっ!もしかして!
『そういえば、ヤクザの木嶋さんが君に会いたいって悶えてるんだ…』
…だなんて、ひょっとしたら木嶋さんのところへ連れてかれるとか…!
だとしたら俺、危ないぞ?
俺の操、危ない…!
…な、ワケないか。
そんな変な妄想すらしてしまった中。
すすきのの街並みを潜り抜けて、車が停車した。
「…さあ、着いたよ」