俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
すると、そんなに間を置かずに風景に変化が起こる。
漠然とフロントガラスの向こうの景色を眺めていると。
この車の真ん前に、一台の黒塗り高級車が道路に横付けされた。
運転手が車から出て来て、後部座席のドアを丁寧に開ける。
あ…あぁっ!
そこで見たものに驚き。
目ん玉飛び出そうになった。
そこから出てきたのは。
上下白スーツに、ガラの悪そうな柄シャツを着た、おじさん。
そして、後に続いて出てきたのは。
黒いロングコートを身に纏った若い女性。
…この女性こそが、目ん玉飛び出そうになった原因。
沙羅先輩…!
う、嘘っ!何で??
…あの時、確かに。
確かに、雷帝とその鳥人間たちに連れて行かれたはずなのに…!
なぜ、ここに!
ドキドキしながら、その姿を見守る。
すると、沙羅先輩はガラ悪白スーツに肩を抱かれ、こっちに向かって歩いてくる。
歩きながら彼の顔を上目遣いで見て、ウフフと笑う沙羅先輩。
あの時と同じ顔をしていて。
嬉しそうだ…。
そして、俺の乗っているこの車の前を通り過ぎようとするが。
菩提さんに気付いて立ち止まる。